re:Invent 2022 HPC 関連アップデート情報をまとめて紹介 #reinvent
re:Invent 2022 で HPC に関係する新しい発表がたくさんありました。アップデート情報を整理してまとめました。
本記事では個人的に使いそうな HPC 関連するアップデートをまとめました。
最初に
Monday Night Live(KeyNote)は HPC 推しの内容ではじまりました。KeyNote ですので是非見ていただきたいです。
Compute
AWS Nitro v5
第5世代の Nitro チップが発表されました。パフォーマンスが大幅に向上しています。
- 前世代(v4)と比べ2倍のトランジスタを搭載し約2倍の計算能力
- メモリ帯域幅が 50% 以上増加
- PCI Expressの帯域幅が約2倍
- パケット処理能力(PPS: Packet per second)は 60% 向上
- レイテンシーは 30% 削減
- 電力消費量 40% 削減
画像引用: AWS re:Invent 2022 - Keynote with Peter DeSantis - YouTube
AWS Nitro System とは
次世代の EC2 インスタンスの基盤となるプラットフォームのことです。構成要素に Nitro カード、Nitro セキュリティチップ、Nitro ハイパーバイザーがあります。詳しくは以下のリンクをご参照ください。
AWS Graviton3E
AWS Graviton3 を HPC ワークロード向けに改良したチップが発表されました。
- 浮動小数点演算と、ベクトル演算に最適化
- 線形代数計算のベンチマーク(HPL)で 35% パフォーマンス向上
- 分子動力学シミュレーション(GROMACS)では 12% パフォーマンス向上
- 金融オプションの価格決定で 30% パフォーマンス向上
画像引用: AWS re:Invent 2022 - Keynote with Peter DeSantis - YouTube
C7gn Instance
気象予報、ライフサイエンス、産業向けエンジニアリングなどの HPC 分野向けのインスタンスタイプが発表されました。既存では Graviton3 搭載の C7g インスタンスがあったのですが、ネットワーク最適化モデルかつ最新の Graviton 3E 搭載版です。前述した AWS Nitro v5 を用いたはじめてのインスタンスタイプでもあります。現在はプレビューの申し込み受付中です。
- AWS Graviton3E プロセッサ搭載
- AWS Nitro v5 世代
- 200Gbps ネットワーク帯域幅
- 前世代(C6gn)と比べ最大で 50% 高いパケット処理能力
- 最大 64vCPU、128GiB メモリ
- EFA サポート
参考
HPC7g Instance
HPC 用途に最適化されたインスタンスタイプの最新版が発表されました。2023年年明け提供開始予定です。
- AWS Graviton3E プロセッサ搭載
- AWS Nitro v5 世代
- 最大 64vCPU、128GiB メモリ
- 最大 200Gbps ネットワーク帯域幅(EFA)
画像引用: AWS re:Invent 2022 - Keynote with Peter DeSantis - YouTube
参考
HPC6id インスタンス
密結合ワークロード(シングルノードで処理)向けの HPC 用途に最適化されたインスタンスタイプが発表されました。HPC 最適化インスタンスで Intel のチップが載っているのは初物です。メモリも、インスタンスストアのサイズもモリモリのスペックですね。
- CPU: 物理 64コア
- 3rd Generation Intel® Xeon Scalable Processor(Ice Lake)
- 最大 3.5GHz
- メモリ: 1024GiB(約1TB)
- 15.2 TB ローカル SSD(インスタントストア)
- 最大 200Gbps ネットワーク帯域(EFA)
- 現時点ではスポットインスタンスの提供なし
参考
R7iz インスタンス
メモリ最適化のインスタンスタイプに初めて第4世代の Intel のチップを載せたモデルが登場しました。現在はプレビューの申し込み受付中です。
- CPU: 最大 128vCPU
- 4th Generation Intel Xeon Scalable processor(Sapphire Rapids)
- 最大 3.9GHz
- メモリ: 1024GiB(約1TB)
- DDR5 メモリ
参考
C6in インスタンス
第6世代の Intel プロセッサ搭載のインスタンスタイプにネットワーク最適化されたものがリリースされました。
参考
Storage
EFS スループットモードに使い勝手の良いモードが登場
バーストスループットの枯渇に悩むか、ある程度お金だしてプロビジョニングスループットにするか悩むときの一手に!
画像引用: AWS re:Invent 2022 アップデート速報【AWS Black Belt】 - YouTube
参考
EFS レイテンシー低減
EFS のレイテンシーが低減しました。ですが、HPC のワークロードで高いストレージ性能を求めるのでしたら FSx シリーズをご検討ください。
画像引用: AWS re:Invent 2022 アップデート速報【AWS Black Belt】 - YouTube
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EFS ライフサイクルに1日設定が可能に
以前の最短7日間より短い1日で安価なストレージへオブジェクト(S3 に置いてあるファイル)を自動移動してくれます。ここの設定は EFS の利用用途、運用によりきりです。お困りでしたらご相談ください。
画像引用: AWS re:Invent 2022 アップデート速報【AWS Black Belt】 - YouTube
参考
FSx for NetApp ONTAP のスループット、IOPS が 2 倍に向上
FSx for NetApp ONTAP のスループット、IOPS が2倍に向上しました。2022年5月のアップデートでシングル AZ のデプロイも追加され HPC 用途で費用面でも採用しやすくなっています。
画像引用: AWS re:Invent 2022 アップデート速報【AWS Black Belt】 - YouTube
参考
FSx for OpenZFS のスループット、IOPS が 2 倍に向上
新しいデプロイタイプ(Single-AZ 2)が追加され、スループット、IOPS が2倍に向上しました。FSx for NetApp ONTAP と比べますと、FSx for OpenZFS は最初から HPC 向けの提供のためかシングル AZ での利用が前提です。
画像引用: AWS re:Invent 2022 アップデート速報【AWS Black Belt】 - YouTube
参考
S3 Glacier 復元スループット最大10倍向上
S3 Glacier Flexible Retrieval、S3 Glacier Deep Archive からの復元スループットが最大10倍に向上しました。塩漬けデータを引き出すときありがたいアップデートですね。
Networking
ENA Express
EFA で使われていた SRD プロトコルを使って一般的な TCP/UDP 通信のレイテンシーを削減させる技術です。対応インスタンス(c6gn)が限定的のため今後のサポート状況に注目しましょう。
画像引用: AWS re:Invent 2022 アップデート速報【AWS Black Belt】 - YouTube
参考
SINET と AWS 間の回線が 100Gbps 接続に増強
従来 SINET と AWS 間は 10GBps 接続でした。2022年12月5日時点では SINET 東京 DC から 100Gbps で接続可能になりました。
現在ご利用中のお客様が100Gbps回線へ変更されたい場合には、新経路となりますため、お手数ですが100Gbps回線向けの新規申請をお願いいたします。
とのことですので、研究、教育期間でオンプレのシステム側まで 100Gbps で接続できる環境でしたらお申込みまたは、ご相談いただければと思います。
おわりに
まだすべてのアップデートを追いきれていなく、見たいセッションも確認できていない状態のため、気になるアップデートがあれば追記します。おそらく AWS さんから HPC 関連のアップデート動画か資料、HPC Tech さんからもアップデートまとめ動画が YouTube にあがると思いますので楽しみに待っていましょう。